ファーム柳沢のこだわり

トマトは栽培の季節が限定される露地栽培、多収性が見込めるハウスでの水耕栽培が一般的です。わたしたちファーム柳沢では、それぞれのいい面も取り入れた、ハウスでの隔離床式養液土耕方式を採用しております。その名前のとおり、地面から約50cmほど浮いているパレットの中には、土があります。地面から隔離されることで、肥料濃度や土壌水分を制御し、安定した水分管理ができるため、根にストレスが少なく育てることができます。水耕栽培と比較すると収穫量は下がりますが、徹底した水分管理、施肥管理をすることで、土の良さを活かしながら養液栽培の手法を使う栽培方法です。さらにファーム柳沢では、独自の基準で、必要な水と養分をを適宜与えることで、本来に備わっている生命力を上手に引き出し、旨味を凝縮させます。よくみると産毛のようなものが見えますが、トマトもお腹がすいているとここから空気中の水分を取り込もうと必死です。ここまでトマトを徹底的に管理することで、風味豊かな本来のトマトの味をつくることができます。

 

環境制御のハウス設備

最新の設備でしっかり管理を行い、トマトを大切に育てています。しかし、こちらがしっかり機械で管理しようとしても、トマトも生きものですから、根気強さが必要です。就農して今年で8年目ですが、これまで失敗はいくつもあります。たとえばカビが生えてしまったり、虫が発生してしまったことがありました。原因は一つではない、単純なものではない。後になって気がつくのは、色んな要素が重なり起こってしまうことです。失敗から学ぶことで勘が養われていき、段々と大きな失敗はしないようになりました。

これは会社の仕事でもトマト栽培でも一緒だと思います。まずやってみないと分からない部分ってたくさんあると思います。ただ会社は組織で動いていますが、トマト栽培は全部わたしの責任。だから機械に頼る部分も多くありますが、私自身が失敗から学んでトマトと一緒に成長しなければならない部分は多くあるようにおもいます。農業は本当に奥が深く毎年毎年初心者のような気持ちでいます。

【二酸化炭素発生装置】

ハウス内で植物の光合成に必要な二酸化炭素を、植物が必要とする時間に供給し、トマトの品質と収穫量をアップさせます。また、二酸化炭素発生させることで生まれる熱も、二次利用できるエコな装置です。

【ヒートポンプ】

暖房冷房運転とも幅広い設定温度範囲が可能。熱交換機と大きなファンで、ハウス内の空気に熱を効率よく循環させ、トマトに最適な温度に常に管理できます。

 

【循環扇】

ハウス内の空気を循環させることで暖房効率化を向上、温度ムラをなくすことで作物の生育のムラを減らし、空気のよどみを解消して病害の発生の抑制につなげる役割をしています。

【換気扇】

ハウスの温度や湿度を調節するために大型の換気扇を設置しています。三密になりがちなハウス内空間に外気を取り入れたり、湿気を含んだ内部空気を外に排気したりして植物、

人にとってよりよい環境をつくります。

【遮光カーテン、保湿カーテン】

春夏秋冬、昼夜の変化に対応すべく室温、湿度、照度を感知して自動で作動します。

【潅水(かんすい)装置】

トマトへの水やり作業、肥料の散布など多大な労力がかかり、品質を左右します。この装置を利用することで、作物の水やりや施肥を自動的に行います。

【制御盤】

設定に応じてハウスの天窓、側窓カーテン、炭酸ガス濃度、換気扇、施肥、土壌水分、暖房機等を制御する装置です。ハウス内の管理を一括して行うために必要な頼れる司令塔です。令和3年度はこれをモニタリング、遠隔操作するシステムを追加しました。

わたしたちの想い

 

ファーム柳沢 

代表:松本 渉 (まつもと わたる)

 

経歴 :

1956年生まれ 茨城県出身

1979年 筑波大学 第二学農林学類卒業

前職は化学/食品素材会社の研究開発担当。

現在は、大学の医療系学部にて非常勤講師も兼任。

やればやるほど奥深いトマト作り

こんにちは。ファーム柳沢の松本です。東京都西東京市・西武新宿線西武柳沢駅から徒歩5分の場所にある環境制御ハウスでフルーツトマトを栽培・販売しています。周りは住宅街。まさかトマト農園があるようには思えない場所ですが、小学校の教室1室分くらいのコンパクトなハウスの中には、真っ赤に育ったトマトの森が広がっています。

トマトにとって一番良い環境を維持するため、ハウスの温度、湿度、炭酸ガス、水分はモニターで管理。最適な水分量を調整しながら“味覚に優れたトマト”を丹精込めてつくっています。

不思議なめぐり遭わせで農業を始めることに

私は31年間研究職として務めた会社を57歳で早期退職し、トマト農園をはじめました。実家は兼業農家で幼いころから両親の仕事を見て育ったため手伝いもよくしていました。

それから数十年は農業とはまったく無縁の会社勤めでしたが、縁あって仕事関係で農業にかかわるプロジェクトを担当することになりました。しかし、さあこれからというところで、拠点があった福島県の相馬市の土地は、2011年の東日本大震災の被害にあい、プロジェクトはなくなってしまいました。

真剣に取り組んでいたプロジェクトが思わぬ形で遂行できず、どこか心残りな気持ちがありました。一度きりの人生、本気で農業に挑戦してみたい気持ちもあったのかもしれません。早期退職の話があったのもそのころです。たまたま妻の実家にあった生産緑地(竹林と畑)を使い、農業ができる環境がありました。良いことも悪いことも含めて、不思議なめぐり遭わせがあって、農業を始めることに迷いはありませんでした。

今年でトマトづくりも8年目になりました。面白そうだと手伝い始めた息子が、今では1番心強い相談相手になりました。口コミが広がり、近所の方が数名ボランティアに通っていただいたり、頼れる仲間が増えたことも嬉しい変化の1つです。

都市型農業だからお届けできる自慢のトマト

いつスーパーにいっても購入できるトマトは、みなさんにとっても、なじみのある野菜だと思います。わたし自身も生産者として向き合ったことで、四季折々で味が違うとても奥深い野菜だと感じました。東京トマトの魅力は、この宝石のように美しい赤い色。これは、さらなる美味しさにこだわり、枝で実をつけたまま完熟させられる環境、消費地と近い距離感で育てられる都市型農業だからお届けできるトマトです。

大切にそだてたトマトをどうぞご賞味ください。